問題となっていたウィルス対策アプリが復活!その機能とは。
規約に違反していたとしてiOSのApp Storeから消えていたTrend Micro製のセキュリティアプリがストアに復活し、17日より再びダウンロードできるようになりました。Trend Microの発表によって明らかとなりました。
機能変更して復活
ウイルス対策ソフト「ウイルスバスター」などで知られるTrend Microのアプリが一斉にApp Storeから一斉にダウンロードできなくなったのは9月のことです。Appleから削除されたのか、指摘をうけて公開を取り消したのかは分かりませんが、ユーザーのブラウザ履歴を収集して中国のサーバーに無断で送信していたことが、Appleの定めた規約に抵触していたとの見方が一般的です。
これについて、Trend Microはブラウザ履歴を収集していたことは認めましたが、「処理に至るまで匿名化された形で取り扱われており、ユーザのプロファイリングは行われていなかった」とし、個人情報を利益目的で販売することはしていないと主張していました。
Trend Microによると、今回再公開となったiOS版の「ウイルスバスター」は、Appleの要件に沿う形で機能変更が加えられています。
VPNの使用に関するApple社のポリシーに準ずる形で、本バージョンアップデートによりコンテンツシールドの機能がご利用いただけなくなりました。これにより、Safari以外の任意のブラウザ上、または、アプリ内ブラウザ上からWebサイトを閲覧する際に、Webサイトのコンテンツのフィルタやアクセス制限を行うことができなくなりました。
ウイルス対策アプリは「ウイルス対策」しているのか?
規約に沿う形で再公開までこぎつけたことで、今回の出来事はひとまず一件落着といったところでしょうか。
とはいえ、今回「ウイルスバスター」がApp Storeから削除されたことをきっかけに、「そもそもiOS上のウイルス対策アプリとは何なのか」という疑問が改めてユーザーの間に広がったことも事実でしょう。
そもそも、App StoreはライバルのGoogle Playと異なり、アプリの公開前に厳しい公式審査が行われるため、悪意ある攻撃を意図したアプリが公開されにくくなっています。さらに、iOSはセキュリティの観点から、アプリが「サンドボックス」と呼ばれる個別領域で実行される仕組みをとっているため、アプリがシステム全体を乗っ取ってしまうことは原理上難しいと考えられています。
これは2つのことを意味します。1つ目はウイルスアプリがユーザーのデバイスにインストールされる確率は非常に低いということ。2つ目はウイルス対策アプリもまた「サンドボックス」内でしか稼働できず、システム全体を掌握できないため、十分なウイルス対策ができないということです。
そのため、App Storeに公開されているウイルス対策アプリは、セキュリティ企業Kasperskyの言葉を借りれば「アンチウイルス製品ではなく」、セキュリティを向上させるアプリなのです。